近年、木育という言葉が生まれました。私は木を通して多くの事を感じ、多くの事を考えます。仕事をしている上での事だけではなく、木を目の前にしていると生きていく上で大切な事や自然との共存など、多くの事を教えられているような気がしてきます。私が木から学び、考えさせられたように、おもちゃを通して子供達へ何かを残していきたいと思う様になりました。
私は、おもちゃを手にしたときの木の感覚をとても大切に考えています。いま楽しく遊べるだけでなく、木の感覚がいつまでも手の記憶として残るようなおもちゃを作りたい。そんな思いを持ちながら、木を磨くことに力をいれています。「体に刻み込まれた記憶はいつまでも残っているもの」。そしてそれらの記憶はふとした拍子に蘇るものだと思っています。木のおもちゃで遊んでいた子供達が大人になったとき、木を懐かしむようでいてほしい。そのとき感じるもの、木の温もりを子供達へ繋いでいってほしいと思います。
作り手から使い手へ、親から子へ、木とビー玉がかすがいとなって、人との繋がりを持ち、より多くの子供達へ伝えられていくことを願っています。スタジオノートで作られるほとんどのおもちゃは北海道のカバの木で出来ています。厳しい自然の中で生き抜いてきた木は、堅くて丈夫な特徴を持ち、子供の成長とともに沢山のキズやヨゴレがおもちゃに書き留められ、おもちゃとしての役割を終えた後も思い出のアルバムとしてずっと残り続けます。その為にも木のおもちゃは丈夫でありたいと思います。何世代にも渡って受け継がれた木のおもちゃは多くの歴史を持ち多くの想いが詰まっています。それらを手にした時、多くのことを考え、感じる力が私の考える木育だと思います。 |